『あすなろ三三七拍子』/重松清 感想
読後の爽快感が良い重松清の小説。
おじさんと大学生の掛け合いはなかなか珍しい。
コロナ渦によるいろいろな文化や制度の見直しが行われている今の時代に、この理屈抜きの応援団というテーマがおもしろかった。(発売はだいぶ前です)
感想【ネタバレなし】
学ランを着て運動部にエールを送る、伝統ある応援団が時代の流れとともに廃部の危機。
主人公の大介は元応援団団長のワンマン社長の命で、あすなろ大学の応援団に新入生獲得のため奮闘する。
理屈や論理が通用しない男の世界の応援団。
大介は根っからの体育会でもなく、かといって娘の彼氏の翔のヘラヘラした若者丸出しの文化も好きになれないどっちつかずの立ち位置。
男の世界を全否定するフェミニストの教授や、応援団OBの二人組の板挟みになったり、苦労しつつも最初は全く理解できなかった「オトコの世界」を理解していく。
主人公の大介と同じように読者目線でも最初は根性論丸出しの応援団を理解できなかったが徐々に好きになれるのが心地よかった。